ワタシの好きなレゲエ

May 12, 2013

レゲエ・グループToots & The Maytalsのヒット曲に「 Pressure Drop」という曲がある。


ジャマイカの人気シンガー、ジミー・クリフが主演した映画「ハーダー・ゼイ・カム」の挿入歌として同名サントラにも収録されている、彼らの代表曲の一つだ。


私は同映画サントラ盤を購入してからというもの、この曲がアルバムの中で一番気に入り、何度も繰り返し聴いていた。


この曲のサビの部分では、



Pressure's gonna drop on you



というフレーズが繰り返し歌われており、とても耳に残る。



ところで、私は最初(というか数年の間)、歌詞の中で何度も繰り返される「pressure」という単語を、「pleasure」だとずっと思っていた。



「pleasure」=楽しい、愉快、喜び



そういったフレーズが繰り返され、 なおかつサビの部分では、



pleasure's gonna drop on you(喜びや幸福があなたに降りかかるだろう ※注・筆者訳)



と歌われるこの曲を、なんて明るい、ハッピーな曲なんだろう!と思っていた。



しかし、あるときふと歌詞カード・対訳を手にとって見てみると、自分がずっと「pleasure」だと思っていた歌詞の中のフレーズは、「pressure」だったことがわかった。


「pleasure」=喜び,(…する)楽しさ,愉快,満足
[YAHOO!JAPAN 辞書より引用]


という言葉の持つ意味とはまるで正反対の、


「pressure」=

●苦悩,重圧;苦難[困惑](の状態),難儀,窮迫
●(社会的な)圧力,強制(力),抑圧,圧迫
[YAHOO!JAPAN 辞書より引用・抜粋]


というフレーズが曲中に頻出し、サビの部分では



pressure's gonna drop on you (お前たち、いつかひどい目にあうだろうよ ※注 筆者訳)



といったことが歌われていたということを知り、驚いた。



この曲は、喜びや楽しさを歌ったハッピーな曲ではなかった。




歌詞の対訳をよく読んでみると、社会的に抑圧されているジャマイカの人たちが、自分たちを抑圧したり搾取する支配層の人間に対して



「今に報いがくるぞ」


というようなメッセージ(※注・筆者による解釈)を込めた、いわばプロテスト・ソング、レベル・ミュージックといったたぐいの内容の曲であった。


こんなに陽気で明るい曲調で、体が自然と動きだしそうな楽しげなリズムでありながら、歌われている内容はとてもシリアス。

そこには怒りや哀しみ、悔しさ、風刺や皮肉までこめられているようにすら受け取れる。



しかし、抑圧された苦しみや怒りなどを歌った曲でありながら、曲調は陽気で体を揺さぶるような心地よさをもっている。


陽気で楽しげなリズムに乗せて、痛烈な内容のメッセージを届けるレゲエという音楽のユニークさや奥深さに、とても魅力を感じた。


抑圧や搾取から生まれる、「喜怒哀楽」の「怒」や「哀」といった一般的に不快だったり好ましくないとされる感情を、「楽」や「喜」といった感情へと変換させたり昇華させているようなレゲエ音楽・ジャマイカンのパワーやしたたかさ、たくましさにとてもひきつけられる。



歌詞の内容を知ってから、それまで以上にこの曲やレゲエという音楽が好きになった気がする。


日頃よく目に留まる、耳にすることの多い「ポジティヴ」とか「前向き」といった言葉が陳腐で薄っぺらく感じられるほどの、力強さや生命力が、そこにはあふれているように思う。



だから私は、この 「Pressure Drop」という曲が好きだ。

 

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